電気工事を事業として行うにあたり、「建設業許可は必要なのか」「電気工事業登録だけで足りるのではないか」と迷う方は少なくありません。
電気工事業には建設業法に基づく建設業許可と、電気工事業法に基づく電気工事業登録という2つの制度があり、請け負う工事の規模によって必要な手続きが変わります。
この記事では、電気工事業で建設業許可を取得する必要があるケース、5つの取得要件、申請の流れと期間、許可取得後の届出までを、行政書士の視点で整理します。
電気工事業の建設業許可とは
建設業許可とは、建設業法に基づき、一定規模以上の建設工事を請け負うために必要となる許可です。
電気工事業は建設業法上の29業種のうち専門工事の一つに位置づけられており、発電設備、変電設備、送配電線、構内電気設備、照明設備、ネオン装置などの設置工事が該当します。
ここで混同されがちなのが、経済産業省が所管する「電気工事業登録」との違いです。
電気工事業登録は、電気工事業法に基づき、電気工事業を営むこと自体に必要な手続きで、工事の規模を問わず原則として求められます。
一方、建設業許可は工事の請負金額が一定額を超えるときに必要な、別の制度です。
両制度は連動関係にあり、建設業許可を取得すると、電気工事業登録は「みなし登録」または「みなし通知」という扱いに切り替わります。
この点は後ほど詳しく解説します。
※建設業許可制度の全体像については、「建設業許可申請とは?」の記事もあわせてご覧ください。

電気工事業の建設業許可が必要なケース・不要なケース

電気工事業で建設業許可が必要かどうかは、請け負う工事1件あたりの請負金額で判定されます。
電気工事業で建設業許可が必要なケース
請負金額が税込500万円以上の電気工事を請け負う場合、建設業許可(電気工事業)の取得が必要です。注文者から材料の支給を受けた場合は、その材料費(市場価格と運送費を含む)を合算して判定します。
また、自社で施工せず下請に発注して現場の管理監督のみを行う場合でも、元請として500万円以上の工事を請け負うのであれば建設業許可が必要となる点は見落とされがちです。
※許可要件の全体像については、「建設業許可の取得条件とは?」の記事をご参照ください。

電気工事業で建設業許可が不要なケース
請負金額が500万円未満の電気工事は「軽微な建設工事」に該当し、建設業許可は不要です。
ただし、軽微な工事のみを請け負う場合でも、電気工事業を営む以上は電気工事業法に基づく登録または届出が原則として必要となります。
「建設業許可がなければ電気工事はできない」という誤解には注意が必要です。
電気工事業で建設業許可を取得する時の取得要件

建設業許可を取得するためには、建設業法で定められた次の5つの要件をすべて満たす必要があります。
経営業務の管理責任者
建設業の経営に関する一定の経験を持つ者を、常勤役員等として配置することが求められます。
具体的には、建設業に関し5年以上の経営経験(法人の役員、個人事業主、支配人など)を有する者などが該当します。
電気工事業以外の建設業での経営経験でも要件を満たせる場合があり、過去の役員登記や工事請負契約書、確定申告書などで経験年数を客観的に証明する必要があります。
行政書士のメモ:申請の際に問題になるのがこの「客観的に証明する必要」があるということです。実際には5年以上の経験があったとしても、書類がなく証明ができなければ、許可を取得することはできません。
専任技術者(資格・実務経験)
申請する業種について、専門的な知識と経験を持つ技術者を営業所ごとに専任で配置することが必要です。
電気工事業の専任技術者となれる主な資格は以下のとおりです。
- 第一種電気工事士
- 第二種電気工事士(免状取得後3年以上の実務経験が必要)
- 1級・2級電気工事施工管理技士
- 技術士(電気電子部門等)
上記のとおり、資格によっては実務経験の証明が必要な場合もあります。
なお、特定建設業許可(下請契約の代金が一定額以上の元請工事を請け負う際に必要)を取得する場合は、1級資格保有者または国土交通大臣認定者の配置が必須となり、要件のハードルが上がります。
財産的基礎
継続的な事業運営に必要な財務基盤があることが求められます。
一般建設業許可と特定建設業許可で要件が異なります。
| 区分 | 一般建設業許可 | 特定建設業許可 |
| 自己資本 | 500万円以上 | 4,000万円以上 |
| 欠損比率 | — | 資本金の20%以下 |
| 流動比率 | — | 75%以上 |
一般建設業許可については、自己資本500万円に満たない場合でも、500万円以上の資金調達能力(金融機関発行の預金残高証明書など)を示せば要件を満たせます。
誠実性・欠格要件
申請者やその役員等が、請負契約に関して不正または不誠実な行為を行うおそれがないこと、欠格要件に該当する者がいないことが求められます。
欠格要件には、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者、禁錮以上の刑に処せられて執行終了から5年を経過しない者、暴力団員またはその関係者などが含まれます。
法人の場合は役員全員が対象となるため、一人でも該当者がいれば許可は下りません。
社会保険への加入
適切な社会保険(健康保険・厚生年金保険・雇用保険)に加入していることが、建設業許可の要件として明確化されています。
法人であれば原則として全社員、個人事業主であれば常時5人以上を使用する事業所が加入義務の対象です。
新規申請にあたっては、加入状況を示す書類の提出が求められます。
申請の手順と取得までの期間

建設業許可の申請から許可取得までは、おおむね3ヶ月〜4ヶ月を要します。
各工程ごとの目安は以下のとおりです。
必要書類の準備
書類収集と申請書作成にかかる期間は、おおむね2〜4週間が目安です。
代表的な必要書類は次のとおりになります。
- 建設業許可申請書および各種別表
- 登記事項証明書(法人の場合)、住民票(個人の場合)
- 経営業務の管理責任者・専任技術者の経験を証明する書類(役員登記、工事請負契約書、注文書、請求書、確定申告書など)
- 資格者証明書(電気工事士免状、施工管理技士合格証明書等)の写し
- 財務諸表または預金残高証明書
- 社会保険加入を証明する書類
- 欠格要件に関する誓約書、登記されていないことの証明書、身分証明書
経験年数を裏付ける過去の工事資料を年単位で揃える必要があるため、書類収集が想定より時間を要するケースが多く見られます。
必要な書類は申請先によっても異なり、必要な書類が膨大になることもあるので、早めの準備が必要です。
また、自社の資料だけでなく、官公庁で取得する必要のある証明書も取得しなければなりません。
申請したい日から逆算して、スケジュール管理をしながら準備をする必要があります。
申請窓口への提出
提出先は、営業所が1つの都道府県内のみの場合は知事許可として当該都道府県の建設業許可窓口、複数の都道府県にまたがる場合は大臣許可として主たる営業所を管轄する地方整備局となります。
申請手数料は、知事許可・新規申請で90,000円(都道府県収入証紙)、大臣許可・新規申請で150,000円(登録免許税)です。
窓口は事前予約制を採用しているところが多いため、提出前には必ず確認するようにしましょう。
審査から許可が降りるまで
申請受理後、知事許可で標準処理期間30日〜45日程度、大臣許可でおおむね90日〜120日程度の審査が行われます。
書類補正の指示が入ればその分だけ期間が延びます。
担当課の審査はどれだけ急いでいても、基本的には早くしてもらえることはありません。
「できるだけ急いで許可がほしい」という場合には、書類準備を迅速に行うなどの工夫が必要です。
審査を経て許可が下りると、許可通知書をもって、500万円以上の電気工事を請け負うことが可能となります。
建設業許可取得後に必要な手続き

建設業許可は取得して終わりではありません。
電気工事業に固有の届出と、建設業全般に共通する更新・変更届出があり、いずれを怠っても事業継続に支障をきたします。
みなし登録・みなし通知への切り替え
建設業許可を取得して電気工事を自社施工する場合、電気工事業法に基づく届出を別途行う必要があります。
届出の種類は、取り扱う電気工作物の種別によって次のように分かれます。
| 取り扱う電気工作物 | 必要な届出 |
| 一般用電気工作物のみ/一般用+自家用 | みなし登録電気工事業者の開始届 |
| 自家用電気工作物のみ | みなし通知電気工事業者の通知 |
すでに電気工事業登録を行っている事業者が建設業許可を新たに取得した場合は、従前の登録の廃止届とあわせて、みなし登録(またはみなし通知)の届出を行います。
建設業許可は国土交通省、電気工事業登録は経済産業省と管轄が分かれているため、許可取得後の届出忘れは比較的多いトラブルです。
更新・決算変更届
建設業許可は5年ごとの更新が必要で、有効期間満了日の30日前までに更新申請を行わなければ許可は失効します。
また、毎年事業年度終了から4ヶ月以内に「決算変更届(事業年度終了届)」の提出が義務付けられており、これを怠ると更新申請自体が受け付けてもらえません。
役員変更や営業所変更があった場合の変更届にも、それぞれ法定の期限が設けられています。
建設業許可は取得後の維持管理も必要になりますので、提出期限管理を徹底しましょう。
※更新手続きの詳細は、「建設業許可の更新は何年?」の記事で詳しく解説しています。

コネクスタ行政書士事務所に依頼するメリット
ここまでお読みいただき、書類の多さや要件の複雑さ、許可取得後の継続的な届出義務を踏まえると、本業と並行して進めるのは現実的にハードルが高いとお感じではないでしょうか。
コネクスタ行政書士事務所は、宮城県・仙台市を拠点に、北海道から沖縄まで全国の建設業許可申請に対応しています。
建設業許可・産廃業許可・電気工事業業者登録など多様な業種の申請実績があり、電気工事業のように資格・経験の証明が要件となる業種について特にノウハウを蓄積しています。
ご依頼いただいた場合は、書類収集・申請書作成・行政庁との事前協議・提出代行まで一気通貫で対応し、許可取得後の更新時期や決算変更届の期限も無料で管理します。
電気工事業の建設業許可については新規申請170,000円(税抜)〜でお引き受けしています。
まずは無料でお見積りをお出ししますので、お気軽にお問い合わせください。
電気工事業で建設業許可を取得する際のよくある質問
電気工事業で建設業許可を取得する際、よく頂戴する質問についてまとめていきます。
電気工事業登録済みで建設業許可を取得したい場合の手続きはどうなりますか?
すでに電気工事業登録を行っている事業者が建設業許可を新たに取得する場合は、建設業許可取得後に従前の電気工事業登録の廃止届を提出し、あわせてみなし登録電気工事業者(またはみなし通知電気工事業者)の開始届を提出する必要があります。
建設業許可の取得日と廃止届・開始届のタイミングがずれると、一時的に無登録状態となるおそれがあるため、提出時期の調整が大切です。
電気工事業をするには建設業許可が必要ですか?
必ずしも必要というわけではありません。
請負金額が500万円未満の電気工事のみを請け負う場合は、建設業許可は不要です。ただし、電気工事業を営む以上は、原則として電気工事業法に基づく登録または届出が必要となります。
事業規模の拡大や元請からの要請で500万円以上の工事を受注する見込みがある場合には、早めに建設業許可の取得準備を始めることをおすすめします。
建設業許可取得前に500万円以上の工事を受注することは問題ありますか?
建設業法上、500万円以上の工事を請負契約として締結する時点で建設業許可を保有している必要があります。
許可がない状態で500万円以上の請負契約を締結することは無許可営業に該当し、3年以下の懲役または300万円以下の罰金の対象となります。
また、罰金刑を受けた場合「欠格要件」に該当してしまい、その後5年間は建設業許可を取得することもできません。
「先に契約だけ結んで、許可が下りてから着工する」という運用も認められません。許可は申請から取得まで知事許可で1ヶ月以上、大臣許可で3ヶ月以上を要するため、大型案件の受注予定が立った段階で準備を始めるのが安全です。
電気工事業で建設業許可を取得するには?取得が必要なケース・手順・期間を解説
電気工事業で建設業許可が必要となるかどうかは、請負金額500万円が分岐点です。
許可取得後も電気工事業法に基づく届出や、5年ごとの更新、毎年の決算変更届が継続的に求められる点が特徴と言えます。
経験年数や資格保有状況を客観的に証明する書類の収集にも時間を要するため、許可取得を見据えるなら早めに準備に着手することをおすすめします。
コネクスタ行政書士事務所では、全国対応で電気工事業の建設業許可申請から許可取得後の継続的な届出管理までを一括サポートしています。
「自社の場合、要件を満たせるか」「いつから準備すべきか」といった段階のご相談から無料で承りますので、お気軽にお問い合わせください。
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「これって相談してもいいのかな?」という段階からでも、どうぞお気軽にご連絡ください。
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