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建設業許可には何種類ある?種類とできること・事例を詳しく解説

「建設業許可の一般と特定の違いは何なのか?」
「大臣許可と知事許可は、どちらが必要なのか?」
「自社の事業に必要な業種は何種類あるのか?」

すでに事業を拡大されている方や、より大きな公共工事の受注を目指す方の中には、以上のような疑問をお持ちの方も少なくないと思います。

建設業許可は、建設工事を請け負うために不可欠な資格であり、適切な種類の許可を取得しなければ、法令違反となるリスクがあります。
また、許可の種類によって求められる要件(財産的基礎や技術者)が大きく異なり、申請前に自社の体制を整える必要があります。

この記事では、行政書士の視点から、建設業許可がどのように分類されているのか、それぞれの種類が持つ意味と、許可の選択が事業に与える影響について、実務に基づき詳しく解説します。
自社に最適な許可の種類を判断するための参考にしてください。

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目次

「建設業許可」の基本構造

建設業許可制度は、事業者が請け負う工事の規模や、営業所の所在地、そして工事の内容に応じて、多角的に分類されています。この多重構造を正確に理解しておくことが、スムーズな許可取得の第一歩です。

建設業許可の分類は、大きく以下の3つの視点から構成されています。

  1. 請負契約の規模(元請けとしてどこまで下請けに出すか):一般 or 特定
  2. 営業所の所在地(どこで事業を行うか):知事 or 大臣
  3. 工事の種類(何を行うか):29業種

これらの分類の組み合わせによって、取得すべき許可の種類が決定します。よくある勘違いとして、「建設業許可」を一つの資格のように捉えるケースがありますが、実際には、事業内容に合わせた複数の要件を満たす必要があります。

請負契約の規模による違い:一般建設業許可と特定建設業許可

一般建設業許可(一般)と特定建設業許可(特定)の区分は、建設業許可制度の中でも特に重要なポイントです。
この区分は、主に元請負人が下請負人に対して発注する金額の規模によって分けられています。

一般建設業許可とは

一般建設業許可は、主に工事を自社で施工する場合や、元請として工事を請け負うが、下請契約の総額が比較的小規模である事業者を対象としています。

具体的には、発注者から直接請け負った一件の工事につき、下請負人に出す金額(下請契約の総額)が4,500万円未満(建築一式工事の場合は7,000万円未満)である場合、一般建設業許可を取得します。

多くの中小規模の建設会社や専門工事業者が取得しているのが、この一般建設業許可です。

行政書士のアドバイス:税込500万円以上(建築一式工事の場合は1500万円以上)の工事で建設業許可が必須になります。許可取得には時間がかかるので、必要になりそうな場合は早めの準備が必要です。

特定建設業許可とは

特定建設業許可は、大規模な工事や複雑な工事において、多数の下請業者を統制・指導する立場にある元請業者を対象としています。

特定建設業許可が必要となるのは、発注者から直接請け負った一件の工事につき、下請契約の総額が4,500万円以上(建築一式工事の場合は7,000万円以上)になる場合です。

特定建設業許可の目的は、大規模なピラミッド構造になる建設工事において、元請けが下請けに対して適正な支払いを確保するなど、下請業者を保護し、工事全体の適正な施工を確保することにあります。

特定建設業の要件は一般よりも格段に厳しい

特定建設業許可は、下請業者への責任を伴うため、一般建設業許可に比べて、申請者に極めて高い要件が求められます。特に以下の2点が大きなハードルとなります。

  • 財産的基礎の要件(財務体制): 直近の決算において、自己資本が4,000万円以上であること、流動比率が75%以上であることなど、極めて厳格な財務基準を満たす必要があります。これは、下請業者への支払能力を保証するためです。
  • 専任技術者の要件: 専任技術者は、一級施工管理技士などの特定の国家資格または所定の実務経験が求められますが、特定の場合、特に難しい要件が設定されています。

これから建設業許可の取得を検討される場合は、まずは一般建設業許可の取得を目指し、将来的な事業拡大の計画に応じて特定への切り替えを検討するのが一般的です。

営業所の所在地による違い:大臣許可と知事許可

次に、建設業を営む営業所の地理的な配置によって、「知事許可」と「大臣許可」に区分されます。これは、工事を行う場所ではなく、本社や支店などの「営業所」がどこにあるかによって決定されます。

知事許可(都道府県知事許可)

知事許可は、一つの都道府県内のみに営業所を設けて事業を行う場合に必要となる許可です。

例えば、本社が東京都内にしかなく、他の道府県には一切支店や営業所がない場合は、「東京都知事許可」を取得します。

知事許可の申請先は、営業所を管轄する都道府県庁となります。この許可を取得すれば、理論上、全国どこでも工事を請け負うことが可能です。

大臣許可(国土交通大臣許可)

大臣許可は、二つ以上の都道府県にわたって営業所を設けて事業を行う場合に必要となる許可です。

例えば、本社が東京都にあり、大阪府に支店を設ける場合、事業規模や工事の内容に関わらず、国土交通大臣許可が必要となります。

大臣許可の申請は、主たる営業所(本社)を管轄する地方整備局経由で国土交通大臣に行われます。

どちらを選ぶかの基準

知事許可と大臣許可の違いは、許可の権限を持つ行政庁の違いであり、許可の要件自体(経営管理体制や専任技術者)に大きな差はありません。しかし、申請書類の作成や提出先の数が異なるため、手続きの複雑さは大臣許可の方が増します。

もし、現在事業所が一つしかないが、近隣の他県に進出する計画がある場合は、将来を見据えてあえて大臣許可を選択するケースもありますが、不要な手続きを増やさないためにも、現状の営業所の数に合わせて適切な方を選択するようにしましょう。

工事の内容による違い:29業種

建設業許可は、「何を建設するのか」という工事の内容によって、全部で29種類の業種に細かく分類されています。事業者が請け負う工事の範囲を明確にするために、この業種分類が必要となります。

一式工事と専門工事

29業種は、大きく「一式工事」と「専門工事」に分けられます。

  • 一式工事(2種類):

    • 土木一式工事: 道路、橋梁、ダムなど大規模な土木工作物を総合的に建設する工事。

    • 建築一式工事: 住宅やビルなど、建築確認を必要とする建物を総合的に建設する工事。


    注意点として、一式工事の許可は、それ自体で完成度の高い総合的な工事を請け負うためのものであり、個別の専門工事(内装、電気、配管など)のみを単体で請け負う場合は、別途、該当する専門工事の許可が必要です。


  • 専門工事(27種類):電気工事、管工事、鋼構造物工事、内装仕上工事、とび・土工・コンクリート工事など、特定の専門技術をもって行う工事です。これらの専門工事を請け負うには、それぞれの業種の許可を取得しなければなりません。

業種追加の注意点

建設業者は、自社で施工可能な業種ごとに許可を取得する必要があります。例えば、建物全体を請け負う「建築一式工事」の許可と、建物内の配管を行う「管工事」の許可は、それぞれ独立して取得しなければなりません。

事業拡大に伴い、新たに請け負いたい工事が発生した場合は、その都度、「業種追加」の手続きを行う必要があります。この追加申請においても、新たな業種に対応できる専任技術者を確保しているかどうかが厳しく審査されます。

行政書士のアドバイス:その都度業種追加するのは費用も手間もかかってしまうので、新規に許可取得をする際、取得できる許可は取得しておくのが一般的です。

複数の許可の種類を組み合わせる具体的事例

実際に事業者が取得する建設業許可は、「一般/特定」「知事/大臣」「29業種」の組み合わせによって成り立っています。これにより、企業の事業戦略や規模に合わせた許可が実現します。

事例1:地域密着型の工務店

  • 経営形態: 地方の一都市にのみ営業所を置き、主に個人住宅の建築(元請)を請け負う。下請けに出す金額は常に4,000万円未満。
  • 必要な許可:
    • 所在地: 知事許可(営業所が一つの都道府県内)
    • 規模: 一般建設業許可(下請契約総額が基準額未満)
    • 業種: 建築一式工事
  • 取得許可の名称: ○○県知事 一般建設業許可(建築一式工事)

事例2:広域展開する専門工事業者

  • 経営形態: 複数の県に営業所を置き、特定の専門工事(例:管工事)を専門的に請け負う。元請けとして、大規模な商業施設工事で4,000万円以上の下請けを使うことがある。
  • 必要な許可:
    • 所在地: 大臣許可(営業所が二つ以上の都道府県)
    • 規模: 特定建設業許可(下請契約総額が基準額以上となる可能性があるため)
    • 業種: 管工事
  • 取得許可の名称: 国土交通大臣 特定建設業許可(管工事)

この事例からもわかるように、建設業許可は、どの分類の要件を満たすかによって、全く異なる手続きと準備が必要となります。

許可取得に向けた行政書士からのアドバイス

建設業許可は、一度取得すれば終わりではなく、事業の成長に合わせて許可の種類を見直す必要があります。特に、一般から特定への切り替え(ステップアップ)や、新たな営業所の開設による知事から大臣への変更は、計画的な準備が不可欠です。

種類の選択は「事前のシミュレーション」が重要

特に注意が必要なのが、特定建設業許可の要件です。前述のとおり、特定建設業では、下請業者保護のために厳格な財産的基礎が求められます。

「将来的に大規模な元請工事を受ける可能性があるから、念のため特定を取得したい」というご相談を受けることもありますが、財務要件が未達であれば、そもそも申請を受理してもらえません

無駄な時間と費用を費やさないためにも、申請前に現在の財務状況や組織体制を正確に分析し、どの種類の許可を、どのタイミングで取得すべきか、専門家と共にシミュレーションを行うことが極めて重要です。

複雑な許可要件の整合性チェック

建設業許可は、種類(一般/特定)ごとに、経営管理責任者や専任技術者など、人的要件も細かく規定されています。

たとえば、専任技術者は、申請する業種(29業種)それぞれについて配置が必要であり、一人の技術者が複数の業種の要件を兼任できるかどうかの判断は、非常に専門的です。

また、許可申請の際には、官公庁が公的に証明できない事項(実務経験など)について、過去の契約書や発注書、請求書など、膨大な「エビデンス」の収集と整理が求められます。書類の不備や証明不足は、許可取得期間の遅延に直結します。

自社で行う場合、これらの要件の整合性を確認し、必要書類を正確に揃える作業には膨大な労力と時間が必要です。

行政書士に依頼する場合は

  • メリット:書類作成、行政庁との事前協議、膨大な実務経験証明書類の精査を任せられるため、本業に集中できる。財産的基礎や人的要件が満たされているか事前に診断を受けられる。最短ルートで許可取得を目指せる。
  • デメリット: 行政書士への報酬が発生する。

特に、建設業許可の申請は、企業の財務状況や技術者配置という機密情報を取り扱うため、信頼できる専門家への依頼が、確実な経営判断と言えるでしょう。

まとめ:建設業許可の取得は、事業計画の可視化そのもの

建設業許可は、「一般/特定」「知事/大臣」「29業種」という3つの分類軸の組み合わせによって成り立っています。
これらの分類を理解し、自社に最適な許可を取得することは、単なる法令遵守のためだけでなく、自社の現在の体力と将来の事業計画を明確化する作業に他なりません。

どの種類の許可が必要か、そのための要件を満たしているかどうかの判断に迷われた場合は、専門家である行政書士までご相談ください。

弊所では、貴社の事業規模や将来的な展開を見据えた最適な許可戦略をご提案し、煩雑な書類作成・収集・行政庁との折衝を全面的にサポートいたします。ビジネスのスタートダッシュを遅らせないよう、確実な許可取得をサポートいたします。

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「これって相談してもいいのかな?」という段階からでも、どうぞお気軽にご連絡ください。
ご相談は無料で承っております。

加藤 駿
代表 | 行政書士
大学を卒業後、法務局事務官、大手行政書士法人の勤務、法人設立の経験を経て、行政書士として独立開業。
現在は法人経営と行政書士業務の両軸で活動しております。
・北海道から沖縄まで、日本各地の入札参加資格の対応経験あり。
・建設業許可、産廃業許可を中心に許認可申請も数多く対応。
・全国対応可。宮城県をはじめ東北地方を中心に、他都道府県の申請も経験あり。

豊富な実務経験と、事業運営に寄り添ったサポートが強みです。
漠然としたお悩みでも遠慮なくご相談ください!

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